南西アジア山岳地域植樹計画 アフガニスタン復興支援植樹事業

事業分野「国際緑化」 地球の緑を増やす

(社)日本国際民間協力会(NICCO)
〒604-8217 京都府京都市中京区六角通新町西入西六角町101番地

団体の概要

NICCOは1979年12月、カンボジア難民の支援を目的として京都の学生と主婦が中心となり「カンボジア難民救援会」として発足した。1993年に外務省許可の社団法人日本国際民間協力会(NICCO)となり、東南アジア、中東、アフリカの各地で、緊急災害支援と、環境に配慮した住民の自立支援活動を実施している。設立以来、特定の宗教や政治思想には一切関与せず、徹底した人道主義に基づいた活動を行う方針を貫いている。

募金事業の概要

NICCOは持続可能な有機的生活環境デザイン手法であるパーマカルチャーを導入し、現地アフガニスタンの伝統農業文化を尊重しながら、住民の生活環境改善・向上に結びつく緑化推進と農林業の育成・指導を展開している。

日本人スタッフと裨益者

本事業を実施した背景として、内戦と干ばつによる森林と農業への甚大な打撃があげられる。事業地のあるアフガニスタン北西部ヘラート州は乾燥地帯に属するが、20年前までは森林に覆われ、農業も盛んに行われており、多くの農産物が収穫されていた。
しかしながら20年来続いた長年の戦乱と干ばつにより多くの森林が破壊され、また地下水を利用した水利施設であるカレーズ(伝統的地下水路)も戦争中は住民による管理がなされなかったために、その多くが満足に使用できない状態となっており、農業や植樹に使用する水はおろか、生活用水も満足にない地域が多い。

種を配布している様子

よってNICCOは、水利施設を修築・建築し、果樹の苗を配布して植樹を行い、村人が苗を育てることにより地域の緑化と収入の増加を同時に達成できる事業を立案した。従来、アフガニスタンでは緑を尊び愛でる文化が根づいており、アフガン人は休日には緑の中でピクニックを楽しみ、庭園や公共の公園などを非常に大切にする国民である。
木の成長と共に果実からの栄養や収入、風害・乾燥からの生活空間の保護、精神的安らぎが得られることにより、住民自らの手によって、内戦と干ばつで失われた伝統的な緑ある暮らしを再生するという長期的効果が期待される。

NICCOは過去5年にわたり、ヘラート市北部のホジャ・サルボール村、西部の5村、および南部のネイスタン村とその周辺9村において植樹を実施した。各村において、まず水路やカレーズの整備等を行って水利設備を整備し、その上でヘラート大学農学部と協力して果樹の苗木や種を配布し、それぞれの村人の私有地に植えてもらい、その後同大学専門家による苗育成の技術指導を行っている。

種を受け取った裨益者
と子どもたち

配布の苗は現地の気候に適し、現金収入を得ることができるアプリコット、アーモンド、ピスタチオ等であり、現金収入の確保のためにサフランの種なども配布している。住民は、自らの現金収入に繋がることから苗を大切に守り育てており、活着率は7割から9割に達している。

参加者・地域の人の声

立派に育った果樹

果樹の植樹について、支援村のとある老人が教えてくれた昔話を以下に紹介する。

「あるところに100歳にもなろうかという老人が果樹を植えていました。そこに王様が通りかかり、その老人に『あなたの生きている間には、収穫することはできないだろう。野菜を植えたらどうか?』と尋ねました。すると老人は「私が今食べている果樹は私の祖父が植えたものです。私も私が食べるためにすぐなくなってしまう野菜を植えるのではなく、私の孫のために植えたいのです」。

今後の取り組み

畑のところどころに
苗木を植えた家庭

苗の配布においては、2004年から「苗バンク」制度を採っており、ヘラート大学農学部から無償提供された苗木の代金を「借入」とし、村人が収穫物を販売して得た利益から農学部へ返済することとなっている。大学はその代金で新たな苗を購入し、新たな苗を配布する。

また、条件のよい村では、村に苗床を作り、苗を育てて新たな家庭に配布したり、ヘラート市内で販売する取り組みも始まっている。さらに、配布の苗から収穫物が得られるようになる数年後には、収穫物を国内市場で販売することで、農家の現金収入の増加による貧困削減に大きく寄与することが見込まれる。NICCOの事業は2007年9月で完了したが、以後もモニタリングを実施し、村人達が自分達で緑化と生活改善を続けていくことができるよう、可能な支援を行っていく。

実績報告とりまとめ表

実施時期 19年2月 19年8月 備考
作業内容 植付面積 21.48ha 2.6ha 24.08ha 樹種:アプリコット、アーモンド、ピスタチオ、サフラン
植付本数 20650本
+100kg
5200kg 20650本
+5300kg
参加者数 2646人
(441家族)
318人
(52家族)
2964人
(493家族)
実施場所 アフガニスタン・ヘラート州エンジル郡内・ゴザレ郡内の村々、ヘラート市内、ほか
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