日中緑化交流基金
ホーム 日中緑化交流基金とは 助成事業 日中緑化協力指標林 日中緑化協力記念林
助成事業の概要
助成の仕組み
助成事業の紹介
助成事業実施団体活動状況
助成事業交付一覧
10年間の成果
  
助成事業実施団体活動状況

平成24年度 助成事業実施団体による活動状況報告

 日中緑化交流基金による助成事業では、日本の民間団体と中国側カウンターパートが協力し中国各地で多様な活動を展開しています。これら助成事業の取り組みについて、各団体からご報告をいただいておりますので、その一部をご紹介します。

1 「若者たちの緑化活動の平和外交貢献」
特定非営利活動法人
国際ボランティア学生協会
理事 宮崎 猛志
 
 2004年3月に第1次黄土高原緑化プロジェクトとして、129名の大学生とともに訪中して8年目が過ぎようとしています。
 これまでに9回の訪中団を率いて、日中の学生約1,400名とともに汗を流してきました。陝西省渭南市潼関県に6回、同じく華陰市に2回、今年からは遼寧省建平県にて緑化活動を行っています。
 私たちは「東アジアの安定と平和のため、国境を越えた環境問題に取り組み、日中の青年たちが汗をかき寝食を共にしながら真の友情を育み朋友となることで、民間による平和外交使節団としての責務を果たす」という目的を掲げ、緑化活動を続けてまいりました。
 これまでの活動期間中、日本と中国の間で様々な外交問題が発生いたしました。そのたびに、両国の若者同士が寝食を共にして育まれる友情が本当に大切であり、未来につながる日中友好の懸け橋になることを実感して来ました。
 現地で合流する中国人学生は、西安外国語大学日本語科の学生が中心でした。彼らの中には卒業後日系企業に就職した者も少なくなく、出張で日本に来た際には当時共に活動した学生と連絡を取り合い一緒にお酒を酌み交わしたりもしています。
 日本側の学生もすでに就職しており、今後はビジネスパートナーとしても固い友情を確認し合っています。商社に就職したある学生は、中国支社から自分の隣の部署に転属してきた中国人社員が、偶然にも学生時代に共に活動した仲間で、今では同じフロアで同僚として一緒に仕事をしているなどというエピソードもあります。
 また、中国国内で反日デモが盛んな折、メールで「国と国とはいろいろありますが、私たちの友情は永遠です」というメッセージが届いたこともあったそうです。
 若者というものはそれだけで非常にニュートラルな立ち位置で物事に接することができます。日本人学生にしても、訪中前に感じていた中国、中国人に対する思いと、実際に訪中期間中に感じた温かいもてなしや地元の方々の優しい笑顔に、自分のこれまで思っていた先入観と実際に経験したものとのギャップに驚き、印象をがらりと変えることになります。さらに、寝食を共にする中国人学生に対しても同じ若者として、学業や将来の夢、就職、趣味や恋の話まで、同じように悩みそして未来に希望を抱いていることを知ります。これは中国人学生にとっても同じことが言えます。
 さらに、作業現場は農村部がほとんどです。そこで出合う現地の方々にとって日本人というのはおそらくテレビや映画の中の日本人しか知らない方がほとんどです。日本から来た若者たちを見て、一緒に作業し、お互い聞き取りづらい北京語で、身振り手振りと筆談でコミュニケーションをとることで、日本人も普通の人間なのだ、と理解してもらえたのではないでしょうか。これもまた、先入観にとらわれない若者のなせる技なのかもしれません。
 私自身、大学卒業後中国で4年間を過ごした経験があり中国人とは、中国人の見る日本とは、ということについて多少知っていたつもりでいましたが、日中の若者たちはその壁をいともたやすく乗り越えていきました。
 日中緑化交流基金の助成を受けた緑化事業という国家と国家の約束事という民間外交の中で、多くの若者たちが汗と涙を流して両国の友情を育んできた事実は大変大きなものではないかと感じています。
 今後も日中両国は隣国である故の様々な障害が立ちふさがることになるでしょう。その時に、未来の日本のリーダーたちがこの活動で得た絆を忘れず未来に向けたかじ取りをしてくれることを切に願ってやみません。
 現在両国の経済格差は縮まり、現地活動経費も高騰してきております。基本的に日本の学生たちはアルバイトをして訪中費用を捻出しております。民間レベルではありますが両国の平和外交に汗を流す若者たちに対して国としてのサポートが生まれればより多くの若者たちに真の交流を体験させられるのではないかと現場の人間として強く望んでいることを結びに申し添えさせていただきます。
 最後に、この民間レベルでの平和外交路線にのっとった緑化事業が両国の間で永続的に続いていくことを切に願います。  
 
jigyouhoukoku13-0101
国際ボランティア学生協会訪中団と西安外国語大学学生
写真左手が植林地 背後に黄土の山並みが見える。
国際ボランティア学生協会
 
jigyouhoukoku13-0102
日中学生共同の植林作業
国際ボランティア学生協会



2 「日中緑化交流基金助成事業」実施10年間を振り返ってみて
広島県日中親善協会
常任理事 事務局長 田渕廣和
 
 1  経過
(1)  平成12年度に日中民間緑化協力委員会資金による事業募集が開始され、当協会は、四川省人民対外友好協会と協議し、これに応募してから既に10年経過したので、過去を振り返ってみました。
 当初、中国側には、日本側の細かい事業資料作成方式に大きな戸惑いと苦労がありましたが、しかし、当方のチエック指示に良く対応して来てくれてました。(向瓊花さんを初め関係各位のご労苦に対し、心から感謝します。)
 
(2)  当初、日本側では、一部の会員から「日本でも造林は必要なのに、なぜ中国の造林を応援するのですか?」との質問がありましたが、これに対し、私から「地球の温暖化と環境悪化は、国境と関係ありません。私達の子孫が地球に住めなくなるのを防ぐために、中国に木を植える応援をします。」と答えたところ、その後、再質問はありません。
 
 2  事業の概要
(1)  各年度の当協会情報誌「友好の架け橋」にも掲載してあります。
 
平成 年度 (実施場所) (造林面積) (造林本数) (助成金) (樹種)
12~14(3年間) 簡陽市丹景山地域 142.4ha 573,100本 16,500千円 側柏等
15~17(3年間) 簡陽市陀江沿岸 154.0ha 424,350本 18,000千円 側柏等
18~20(3年間) 南充市嘉陵江沿岸 200.0ha 916,600本 21,000千円 側柏等
20~22(3年間) 綿陽市安県地域 98.0ha 295,400本 26,937千円 杉等
21~23(3年間) 南充市嘉陵江沿岸 267.3ha 492,830本 23,975千円 楊等
23   (1年間) 綿陽市安県地域 32.0ha 104,000本 9,000千円 杉等
合計 893.7ha 2,806,280本 115,412千円  
 
(2)  2007年6月には、中間の纏めとして、
 “創緑色山河”日中友好記念植樹7年間の交流と感動
 ─ 2000年度(平成12年度)中国四川省で若き世代の笑顔と共に─
 のタイトルで各年度間(7年度)の詳細な実施状況、写真、交流の感動文を記載した冊子を発刊して各関係方面に配布しました。(その内容のポイントは、以下のとおりです。)
 造林の現地では、毎年度、当協会の訪中団(20~40名前後)が、現地の住民の方や、小学生、専門学校の学生さん等と共に実施してきておりますが、その場所は、掲載写真のように「創緑色山河」の記念碑の前で、日中の国旗が仲良く掲げられた下、皆が整列して式典を行い、日中の歌を合唱してから記念植樹を皆で実施しています。(歌は「北国の春」等です。)
 (当初、この準備のため、中国側から、私へ「日本の国旗が現地に無いので持って来てほしい」との要請電話があった時、私は、嬉しくて涙が出ました。)
 2005年度の記念植樹に参加してくれた地元小学生児童は、現地の坂道を歩く時、介添えをしてくれる等、中国側の優しい心遣いに訪中団全員が胸の熱くなるのを覚えました。
 後日、地元小学校児童の参加体験感想文36名分と、日本語学習大学生21名分のアンケート感想文を提出してもらい、それらを冊子として発刊し、各関係方面に配布しました。
 その一般的な内容ですが、先ず、小学校児童の感想文では、「彼(彼女)等が生まれて初めて、異国の人、日本人と一緒に木を植える事になった喜びと感動、そして、日本人のお爺さん、おばあさんに対する親近感やこれから日中友好親善を目指していく熱い想いが生き生きと伝わってきます。
 一方、日本語学習大学生のアンケート感想文でも、「記念植樹の参加は、とても有意義でした。日中の人々が一緒に樹を植え、歌を合唱したのに感動した。」が数多くみられます。
 
 3  願い
 このように、これからも、植林とその関連行事を通じて、参加関係者がお互いに心の感動をより多く共有し、理解と信頼、友情をより確かなものにしていくことが、日中韓の新たな発展と世界平和の礎になるものと考え、強く願っています。
(付)  
 2002年10月30日、簡陽市丹景山地域の記念植樹の時、訪中団参加者=角本貫次さんが、20万円を地元小学校へ寄付されたおかげで、当時、4年生児童であった胡秀芝さん(女。母親が死去、父親は身体障害者。)が成績優秀者でありながら学費が払えず、失学(退学)になるところを救済されました。彼女は、今、お元気でしょうか? ご多幸をお祈りします。
 
jigyouhoukoku13-0201
長江上流沱江、涪江、嘉陵江、四川省(成都市、簡陽市、遂寧市、南充市、綿陽市の安県・江油市等)
重慶市等の参考概略図 広島県日中親善協会
 
jigyouhoukoku13-0202
2006年度に南充市曲水鎮の嘉陵江沿岸で記念植樹と記念式典をした現場。
訪中団19名、中国側(児童等)約300名参加。美しい風景の場所です。
広島県日中親善協会



3 緑化の精神と友情の絆を次世代に引き継ごう!
公益財団法人 日本ユースリーダー協会
常務理事 堀添英人
 
 「オレ、本当にいま砂漠に立ってるんだ・・」生まれて初めての海外、しかも日本では経験できない広大な砂漠に足を踏み入れた学生が思わずつぶやいた一言です。日本ユースリーダー協会は明日の国際社会を担う次世代リーダーの育成に取り組んでおり、本事業においても日中の青年リーダーによる緑化交流を行っています。特に本年は「2012年日中国民交流友好年」の事業認定をいただき、この夏8名の日本人大学生をつれて植林活動を行ってきました。
 場所は内モンゴル自治区・ダラト旗。現在広大なクブチ砂漠の緑化を目指す「日中青年内モンゴル砂漠化防止モデル林」プロジェクトを推進しています。今回の訪問では、単なる「記念植樹」ではなく学生に本格的な植樹をさせてほしいと要望し、専門家の指導のもと半日にわたって作業を行いました。最初は楽しそうにはしゃいでいた若者たちも、だんだんと口数が減り、地面にへたり込むまで土と格闘しました。最後は高台からこれまで日本の諸先輩や地元住民の人々が成し遂げてきた緑化の成果を見学し、「自然を前に人間ひとりの力は無力かもしれない。しかし、強い信念と継続の力があれば人はどんな不可能も可能にできるのだ」という事実を自分自身の目で見たという経験は、彼らのこれからの生き方に少なからず影響を与えることができたと思います。
 その他にもダラト旗では現地の小学生に日本を紹介する授業をするなど、単なる観光ではできない貴重な体験をさせてもらいました。「若者の内向き志向」が社会的問題になっている日本ですが、ちょっとしたきっかけさえあれば若いエネルギーはどんどん新たな未来へと向かっていきます。そして、現在の日中関係を改善していくためにも、こうした若い世代の交流を地道に続けていくことがいまこそ求められているのだと思います。我々の緑化事業においても、木々の成長のみならず日中の若い力の芽を伸ばすことに意識的に取り組み、緑化の精神と日中友好の絆を次の世代にリレーしていくことがもう一つの使命なのだということを強く感じました。
 
jigyouhoukoku13-0301
植林作業風景
公益財団法人 日本ユースリーダー協会
 
jigyouhoukoku13-0302
小学校で日本文化を教えました。
公益財団法人 日本ユースリーダー協会



4 日中緑化交流事業に新たな決意
特定非営利活動法人 埼玉県日本中国友好協会
理事長 中崎 恵
 
 日中緑化事業を実施している呂梁市方山県は山西省西北の黄土高原、黄河の中流域の地点にあるが、黄砂の頻繁な発生により砂漠化が進み、大きな自然災害を生む要因となってきた。
 この周辺は、これと言った産業にも恵まれず、地域の主な産業は農業ではあるが、その農業生産にも致命的な要因をもたらしてきた土砂の流失や一時的水害など自然条件の厳しい地域である。従って、この周辺の経済発展を阻害する大きな要因ともなっている。
 現地の統計によれば、年間降雨量が380ミリ程度と非常に少なく、降雨の集中期は7月~9月が中心で、年間の60%を占めている。従って、植樹の視点からみると、苗木の植え付け作業は一定の期間内に集中せざるを得ないという現実がある。
 こうした現況にも関わらず、当該地での助成事業も既に8年目に入り、日中双方とも大きな努力を重ね、経験を積み、緑化事業の円滑な進行が見られるようになった。
 平成16年度から数えて、太原市、呂梁市の2か所で、植林面積400ha、88万本の植林を完成させたが、林業技術者の技術も徐々に向上し、住民の植林への理解も深まってきている。
 本年は『日中国交正常化40周年・山西省と埼玉県との友好県省30周年』の記念の年に、「第7回植樹祭」を現地において開催したが、植樹祭には日本側から38人、中国側からは政府関係者をはじめ、現地住民や高中生など250人が参加した。
 特に注目されたのは、現地の子どもたちによる植林ボランティアの参加も活発になってきていることで、今回の植樹祭では、初めて現地中高生の代表から日本側への感謝のことばがあり、「熱烈」な歓迎を受けた。
 当協会は、毎年担当理事を現地に派遣し、植え付け後の管理や苗木の育苗状況について現地での視察や調査を実施し、現地林業局との信頼関係を築いてきた。
 この助成事業が、事務的な交流に留まらず、地元の小中学校の子どもたちとの友誼が進められ、新しい交流の芽生えもできつつあり、緑化事業の本来の目的を見失うことなく、粛々と発展させて行くスタンスの長い事業であると理解している。
 山西省からの強い要望に応えて、引き続き3カ年の実施計画を決定し、平成24年度から第2期目の第1年次事業を実施することとした。それには、日中緑化交流基金の関係者の方々の指導と理解が得られたことに多くの感謝をしている。
 私たちは、新たな決意を持って、日中友好と日中緑化交流事業の理念を生かし、日中の将来のために努力し、この事業を成功させたいと願っている。
 
jigyouhoukoku13-0401
2004年度事業 尖草坪区馬頭村のコノテガシワ(側柏)
2011年5月撮影
特定非営利活動法人 埼玉県日本中国友好協会



5 緑の大地再生(重生緑色大地)・・・蘭州市南北両山水土保全林造成事業
NPO法人 あきた白神の森倶楽部
 
 平成23年度は国交回復40周年、加えて秋田県と甘粛省は友好交流協定を交わして以来30周年という節目の年を迎え、この間文化交流をはじめ様々な分野において密接な交流関係を深めてきました。
 甘粛省蘭州市における森林造成には秋田県林業育成協会が、日中緑化交流基金の助成により平成16年から平成21年までの6年間取組んできました。
 砂漠化の拡大など環境悪化が進行する中国甘粛省黄土高原における植林事業の取組みは、カウンターパートの市南北両山環境緑化工程指揮部と協会間で確りと意志疎通が図られ、240.7haに約60万本の植樹が完成し、植栽木の活着率は95%、成長状況も極めて良好であり国家林業局は森林造成モデル林と位置づけています。
 NPO法人あきた白神の森倶楽部はこうした活動を引継ぎ、日中緑化交流基金のご指導の下に平成22年度から南北両山水土保全林造成事業を開始、平成24年度までに78ha、約20万本の植栽を計画し、すでに50haが完成しています。
 当森林造成地域は、蘭州市の南西部に位置し海抜約1,800m、平均斜度28度と極めて急峻、平均気温9.3℃であり、典型的な温帯性大陸季節風気候で、昼夜の温度差が大きく、年平均降雨量は300~500㎜と少ない上に7~8月に集中し、年間降雨量の60~70%を占めていることに加え山地の植生が極めて乏しく、洪水や土砂の流出、砂嵐は市民生活に大きな打撃を与えるばかりか、砂漠化の進行による農地の劣化や干害は農民の生活をも脅かしていることから、水土保全林の造成が強く望まれており、蘭州市は中央政府や甘粛省の支援により緑化事業の取組みを強化しているものの、地域全体からみると十分とはいえない状況にあります。
 このような背景を基に、造成技術面等において、①地域の自然的・社会的条件を踏まえ、水土保全機能の高い森林造成を目指して側柏を植栽する。②また植栽作業に携わる農民にインセンティブを与えるため、経済林樹種として山杏の導入を図る。③植栽の方法は、現行行政機関の定める造林基準に従って実施するが、具体的には側柏3、山杏1の割合で混植し、植栽本数は2,520本/haとする。④苗木の大きさは、側柏は苗令3年生、苗高120cm程度、山杏は苗令2年生、地際部径1cm以上とし、いずれも緑化効果の出やすい1級苗木とする。⑤植栽地の地拵えは斜面を階段状の水平台に整地し、さらに植え穴は直径、深さとも約40~50cmに掘リ、水分の流出及び乾燥防止等について現地協議を重ね、意志疎通を図りながら、事業実行に当っています。
 特に蘭州市南北両山は重点緑化整備地区となっていることから、当倶楽部はカウンターパートと共同で水土保全林の造成に取組み生態環境の改善を図ろうとするもので、今日まで8年間積み重ねてきた技術面をはじめ、文化交流等民間交流活動による信頼関係をさらに発展させていきたいと考えています。
 
jigyouhoukoku13-0501
植栽技術調査団による記念植樹
蘭州市南北両山環境緑化工程指揮部の皆さんと
NPO法人 あきた白神の森倶楽部



6 黄土丘陵・淳化県で文冠果を植えています
環境保全ネットワーク京都
 
 私たち環境保全ネットワークは、今年で設立10周年を迎えました。2004年に初めて京都とゆかりのある陝西省西安市の南部・長安区でポプラを植えたことに始まり、その後7年間、西安市の北方に位置する富平県と三原県の黄土丘陵約500haにコノテガシワ、柿、クルミなどの植樹協力をおこなってきました。
 昨年11月からは、三原県に隣接した淳化県において協力をおこなっています。今回の協力のカウンターパートは、農民が出資して作った林業合作社です。それまではいずれも県政府の林業局をカウンターパートとしてきましたが、陝西省の国際協力事業としては初めての民間林業主体を相手方としています。ここで私たちは文冠果という木を植えています。
 文冠果は陝西省などの半乾燥地域の固有種です。ムクロジ科の木でたいへん乾燥に強く、根は長く伸び、その皮には水を蓄える機能があり、年間降雨量が300~600mm程度のところでも育つため、中国では乾燥地の緑化樹として使われています。文冠果の実は「はねつき」に使われるムクロジと同じ形の実で、それより一回り大きい実をつけます。この文冠果の実や葉には有用な油分が含まれており、実からは油を抽出し、葉はお茶に加工されています。文冠果の葉を発酵させたお茶は、血液をサラサラにするなど薬効効果が高いとして高値で販売されています。発酵させた黒茶と、発酵させずにそのまま乾燥させた青茶があり、どちらも高血圧に効果があるとのことですが、黒茶の方が効能も高いそうです。
 私たちは、今月11月に10周年を記念ツアーを9人のメンバーと共に実施しました。今回は、日中緑化交流基金などの支援を得て実現した、過去の植樹協力地を順に訪ねました。協力地で大きく育った樹木を見たときにはメンバー一同大きな感動を覚えました。現在の淳化県での記念植樹のときには、折悪しく強烈な寒波が襲来し、零下の気温と強風に見舞われました。万里の長城では日本人が、遭難したあの寒波でしたが地元の合作社の農民と一緒に植樹することができました。日中関係が緊張するなかでツアーに実施が危ぶまれましたが、過去の植樹地を訪問し交流できたことは幸いでした。表向きは現地政府として歓待できないなかでも、カウンターパートは個人的に変わりなく接してくれました。国境を越えた人間関係の大切さを実感し、植樹を通じた絆の深さを痛感しました。また、植樹地の農村を歩き、農民のヤオトンを訪問するなど、素顔の生活に触れ交流できました。
 隣国の環境悪化は、黄砂の飛来など直ちに日本に影響することを考えれば、環境面での緊密な協力や交流は欠かせないと思います。設立10周年を節目に、今後とも微力ながら緑化を通じて環境改善に貢献していこうという思いを新たにしています。
 
jigyouhoukoku13-0601
環境保全ネットワーク京都設立10周年記念ツアー記念植樹
平成16年から実施した陝西省内の植樹協力地を順に訪れた。
環境保全ネットワーク京都
 
jigyouhoukoku13-0602
ムクロジ科の文冠果成木 文冠果は乾燥地の緑化樹として使われている。
環境保全ネットワーク京都



7 金沢市日中友好協会における緑化事業の取り組み
金沢市日中友好協会
 
 当協会では、2008年の四川大地震の発生直後、現地の被害状況も気になったが、日頃から交流のある市内在住の中国人学生らから「支援したいがなにをしたらよいか」という相談を受けた。被災地にはなによりもお金ということで、留学生らとともに街頭募金(2日間)を実施、その他からの募金も合わせ100万円余を集め支援した。一方、2010年、世界の砂漠を緑で包む会(事務所:金沢市)から、中国で植樹活動をしているが一緒にやらないかという話があった。こうしたご縁から、四川大地震震源地の南東70kにあって、被害も大きかった綿竹市で災害復旧のための植林事業に取り組むことになった。
 2011年3月上旬、現地調査のため成都市を訪れた。この地は温暖ですでに菜の花が咲いている。この時地震被害の跡といえば、江蘇省の援助による工場の建設現場と仮設住宅の跡を目にしただけだった。成都市から北へ85kにある綿竹市は三国志にも登場する古い町で、その西、四川盆地の端にあたる里山が事業の対象地である。民家はまばらで、急傾斜地に広がる段々畑には菜の花や桜が咲いている。しかし、畑の上の方を見ると山肌には地震による山崩れの跡が幾筋も見える。こういう場所で畑を耕している人の姿や手入れの行き届いた野菜畑を見て重要な生活の場になっていることを実感、生活環境の保護や生態系保全のため我々が取り組む意義があると強く思った。
 綿竹市林業局の建物も地震の被害にあい補修工事の最中で、かっての車庫を事務所として使っており、職員の住んでいる裏手のアパートも補強工事が施されていた。この事務所(=車庫)で現地スタッフと1回目の打合せや意見交換を行った。その後2回にわたり植樹のための訪中団を派遣、林業局職員との交流や地元住民とともにイチョウ、クルミなどの苗木を植え、これまでに植えた苗木(42ha、10万本)が順調に根付いていることや今後の管理方針もお互いに確認できた。
 こうした実績を積んで平成24年度は寧夏回族自治区呉忠市、青海省楽都県での植樹を計画、世界の砂漠を緑で包む会の助言を得ながら準備を進めてきた。幸いにも両地区とも助成対象事業に採択された。綿竹市と違いいずれも標高が高く降雨量が極端に少ない地域である。このような状況下で木を根付かせる上では相当な困難もあるかと考えるが、そういう場所だからこそ植林の必要性があるわけで生態系の改善にも役立つことだろう。
 この地域を選んだもう一つの理由に、世界の砂漠を緑で包む会(内蒙古自治区)に近いこともあり、お互いに情報を交換しながらより良い活動ができるというメリットもある。
 年明け早々に計画している現地調査で地元スタッフとの打合せなどを通じ、新しい友人ができることを楽しみにしながら準備を進めているところである。
 
jigyouhoukoku13-0701
24年8月に訪中団を派遣、24日に現地で地元スタッフなどとともに、クルミの苗木を植えた際の集合写真
金沢市日中友好協会
 
jigyouhoukoku13-0702
一昨年に護岸工事をした両岸に一昨年、昨年とモミジ、タケ、ヤナギなどを植えた現地の状況写真、いずれの苗木も葉を茂らせ、活着している。
金沢市日中友好協会

日中緑化交流基金