日本でたんすがつくられるようになったのは、江戸時代になってからのことです。それまで、物の収納(しゅうのう)には、櫃(ひつ)や長持(ながもち)など、箱型(はこがた)の入れ物を利用していました。たんすと櫃や長持などのもっとも大きなちがいは、ひきだしがあるかないかという点です。この時代にたんすがあらわれたのは、人々の生活が豊かになり衣類をはじめとして多くのものをもつようになり、整理(せいり)や出し入れがしやすく、場所をとらない収納家具が必要となったからです。また、ひきだしをつくるためには、厚さや大きさがそろった板材が必要となりますが、この板材をつくるための道具(どうぐ)が進歩(しんぽ)したことや、市場ができるなどして材を手に入れやすくなったこともあげられます。

櫃(ひつ) 長持(ながもち)