木材が湿度(しつど)を調節(ちょうせつ)することは、古くから知られていました。宝物(ほうもつ)をしまっておくために756年に建てられた東大寺(とうだいじ)の正倉院(しょうそういん)もその利点(りてん)がいかされています。宝物が今でもくさったり虫に食われたりせずに残っているのは、建物や宝物をしまっていた箱が、すべて木でできていたからだと考えられます。 湿度を一定に保(たも)つことは、病気をふせぐこととも関係しています。ぜんそくなどの原因(げんいん)になるカビや、アレルギー性疾患(せいしっかん)を引きおこすダニなどの微生物(びせいぶつ)は、てきとうな湿気(しっけ)と温度のもとで、ほこりを栄養にして繁殖(はんしょく)します。これをふせぐには、ほこりを取りのぞくことと湿度を80%以上にしないことが必要です。湿度を調節する木材は、カビやダニの発生しにくい環境をつくってくれます。 |
『改装前と改装後におけるダニの数の変化』 |
出典:昭和62年度農林水産省試験報告(1987) |
このグラフは、コンクリートでできた家のじゅうたん・たたみをナラ材の床に改装(かいそう)した場合に、ダニの数を調べてくらべたものです。改装した前の年にくらべて、改装後の同じ月ではダニが減っていることがわかります。 |
インフルエンザのため学級を閉鎖する割合は、RC(コンクリート)づくり校舎にくらべて木造校舎では、半分ほどです。また、RC(コンクリート)づくりでも内装(ないそう)に木をつかっている場合は、学級閉鎖がおこる割合は木造校舎とおなじくらい低くなっています | |
『インフルエンザ等で学級閉鎖(へいさ)した数(1988〜1991年の3か年)』 | |
『木造校舎とコンクリートづくり校舎1階教室における湿度の年間変動』 岐阜県武儀郡上之保(むぎぐんかみのほ)小学校、1989年6月〜1990年4月 |
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木造校舎(もくぞうこうしゃ)とコンクリートづくり校舎(こうしゃ)の中の湿度(しつど)が1年のあいだにどのようにうつり変わるのかをしめしています。コンクリートづくり校舎にくらべて木造校舎では、冬に湿度が40%より大きく下まわる日がないことがわかります。 |