樹木は数十mもの高さがあります。大きな風が吹けばたわみますが、幹や枝はしなやかで折れることなく元にもどります。法隆寺の五重塔も樹木のようにゆれに強い柔軟(じゅうなん)な構造を持っています。五重塔は心柱(しんばしら)と言われる大きな柱を真ん中に、一重ずつ層が積み上げられています。心柱とまわりの各層はつながっておらず、てっぺんの相輪(そうりん)の根元ではじめて接しています。この構造は地震(じしん)のとき、地面と建物のゆれるタイミングがずれて、ゆれる幅が一定以上に大きくならないようになっています。現代の超高層ビルと同じ構造です。五重塔は記録にあるだけでも40回以上の地震にあったとされますが、地震の多い日本で、1300年もの長い年月を経た今もその姿を見ることができるのは、匠(たくみ)たちの技術のすばらしさを物語っています。